なぜリフォーム費用が高くなるのか
空き家、特に長期間人が住んでいなかった家のリフォームが高くつくのには、構造的な理由があります。
- 見えない部分の劣化が進んでいる——人が住まない家は換気されず、湿気による床下の腐食・カビ・シロアリ被害が進みやすい。表面をきれいにする前に、下地の補修費がかかる
- 設備がまるごと交換になりやすい——給湯器・配管・浄化槽などは長期間使わないと劣化が進み、部分修理でなく交換が前提になることが多い
- 旧耐震基準の建物が多い——1981年(昭和56年)5月以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で、安心して住む・貸すためには耐震診断と補強が課題になる
- 現行の生活水準とのギャップ——断熱・水回りの間取り・コンセント数など、昭和の家と現在の暮らしの差を埋める工事が積み上がる
- 解体・処分費が乗る——古い設備や残置物の撤去・処分費用が、新設費用に上乗せされる
「物件が安い」と「トータルが安い」は別:空き家バンクの物件価格が安いのは、こうした改修負担込みの価格だからです。購入・利用を検討する際は、物件価格ではなく「物件価格+改修費−補助金」のトータルで比較することが重要です。
耐震補強・水回りの費用目安
代表的な工事の費用目安です。建物の状態・面積・仕様で大きく変わるため、あくまで検討の出発点として使い、実額は見積もりで要確認です。
| 工事項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 耐震診断(木造戸建て) | 無料〜10万円程度(自治体の補助・無料診断制度がある場合が多い) |
| 耐震補強工事 | 100〜200万円程度(補強箇所数による) |
| キッチン交換 | 50〜150万円程度 |
| 浴室交換(ユニットバス化) | 50〜150万円程度 |
| トイレ交換(和式→洋式含む) | 20〜50万円程度 |
| 洗面所の交換 | 10〜50万円程度 |
| 屋根の葺き替え・補修 | 30〜200万円程度(範囲・素材による) |
| 外壁の塗装・補修 | 60〜150万円程度 |
| シロアリ駆除・予防 | 10〜30万円程度 |
| 残置物(家財)の処分 | 10〜40万円程度 |
全部を一度にやると数百万円規模になりますが、後述のとおり「全部やる必要があるか」を疑うことが費用圧縮の第一歩です。
愛知県の補助金一覧(確認先と代表的な制度の型)
愛知県内の市町村には、空き家・住宅の改修に関わる補助制度がいくつかの「型」で存在します。制度の有無・金額・条件は自治体ごとに異なり、年度で変わるため、ここでは型と確認先を整理します。
- 木造住宅の耐震診断・耐震改修補助——旧耐震(1981年以前)の木造住宅を対象に、無料診断や改修費補助(100万円前後の上限を設ける例が多い・要確認)を行う自治体が愛知県内に多数ある
- 空き家改修(リフォーム)補助——空き家の利活用を目的とした改修費補助。空き家バンクへの登録を交付条件とする自治体もあるため、バンク登録と補助申請の順番に注意
- 住宅リフォーム一般への補助——移住・子育て世帯向けなど、対象者を絞った改修補助を持つ自治体もある
- 解体(除却)補助——「直すより壊す」を選ぶ場合の補助。当サイトの愛知県54市区町村の補助金一覧で自治体別に確認できます
リフォーム系補助金の自治体別の詳細は「愛知県のリフォーム補助金まとめ」にまとめています。なお多くのリフォーム補助は申請者がその家に住み続けること(owner居住)を条件とするため、「直してから売る」計画には使えない場合が多い点に注意してください(詳細は「リフォームしてから売るべき?」参照)。
補助金は「契約・着工前の申請」が原則:ほとんどの制度で、工事契約後・着工後の申請は対象外です。見積もりが出た段階で、契約の前に市町村窓口へ確認する順番を守ってください。予算枠が年度途中で締め切られる制度もあります。
費用を抑える3つの方法
- ① 補助金を先に調べ、工事内容を制度に合わせる——耐震・バリアフリー・省エネなど補助対象になる工事を優先的に組み込むと、実質負担が下がる。申請は契約前に行うのが原則
- ② 「住むのに必須」と「後回し可」を分ける——耐震・雨漏り・水回り・電気給排水など生活と安全の基盤を最優先し、内装の美装や外構は住みながら段階的に行う。一度に全部やらないことが最大の圧縮策
- ③ 相見積もりを3社程度取り、内容の差を見る——金額だけでなく「どこまでの工事を含んでいるか」の差が大きい。安い見積もりは工事範囲が狭いだけの場合もあるため、項目単位で比較する
業者選びの注意点
- 現地調査が丁寧か——床下・小屋裏まで見ずに出てくる見積もりは、着工後の追加費用につながりやすい
- 建設業許可・リフォーム関連の登録の有無——一定規模以上の工事には許可が必要。会社の実在性・実績とあわせて確認する
- 契約書と見積もりの内訳が明確か——「一式」ばかりの見積もりは比較も検証もできない。数量・単価の記載を求める
- 追加工事の取り決め——解体してみたら腐食していた、という事態は空き家改修では日常的。追加が発生した場合の連絡・承認の手順を契約時に決めておく
- 補助金の申請経験——自治体補助の利用経験がある業者だと、書類・工程の段取りがスムーズなことが多い
まず何をすべきか
- 建物の建築年を確認する(1981年以前なら耐震診断を最優先。無料診断制度の有無を市町村へ確認)
- 市町村の窓口で使える補助制度を確認する(耐震・空き家改修・一般リフォームの3系統を聞く)
- 工事の優先順位表を作る(必須/推奨/後回しの3段階)
- 3社程度から相見積もりを取り、補助金の申請スケジュールと突き合わせる
- そもそも「直して使う」が最適かを見直す——売却・解体との比較は「空き家は売る?解体する?」、実家全体の進め方は「実家じまいの進め方【完全ガイド】」を参照。相続した家なら相続登記が済んでいることも工事契約・補助申請の前提になる場合があります
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものです。費用は建物の状態・仕様により大きく変動し、補助制度は自治体・年度により異なります。実際の判断にあたっては各自治体・施工業者・専門家にご確認ください。