境界トラブルとは

土地の「境界」には、実は2つの意味があります。ひとつは登記上の区画の線である筆界(ひっかい)、もうひとつは所有権が及ぶ範囲としての所有権界です。両者は本来一致するはずですが、長い年月の間に塀の位置がずれたり、口約束で土地の使い方を決めていたりすると、認識のずれが生まれます。

古い実家で起こりやすい境界トラブルの典型例は次のとおりです。

相続した実家で表面化しやすい理由:親の代では「お隣さんとの暗黙の了解」で問題にならなかったことが、相続で世代が替わり、売却という第三者が関わる場面になって初めて表面化します。隣地側も世代交代していると、当時の経緯を知る人が誰もいないという状況になりがちです。

なぜ売却がストップするのか

境界が未確定でも、売買契約そのものが法律上できないわけではありません。それでも実務上、売却が止まる理由は明確です。

つまり境界問題は「売れない」というより「安くしか売れない・話が進まない」問題です。放置しても自然には解決せず、関係者の世代交代でむしろ難しくなっていきます。

解決の手順

解決は、争いの度合いに応じて段階的に進みます。いきなり裁判ではなく、穏当な手段から順に検討するのが基本です。

相続登記が済んでいないと当事者になれない:境界確認書の取り交わしや筆界特定の申請は、土地の所有者(またはその相続人)として行います。名義が亡くなった親のままだと手続きが滞る場面があるため、義務化された相続登記を先に(または並行して)済ませておくことをおすすめします。

費用目安

費用は土地の形状・隣接地の数・官有地との接し方で大きく変わります。以下はあくまで一般的な目安で、実際は見積もりで要確認です。

項目費用の目安
現況測量(境界確定なしの簡易測量)10〜20万円程度
境界確定測量(民有地間のみ)40〜60万円程度
境界確定測量(道路・水路など官有地査定を含む)60〜80万円程度以上
筆界特定制度の申請手数料対象土地の価額により数千円〜(別途測量費用がかかる場合あり・要確認)
境界ADRの利用申立て・調査ごとに数万円〜(運営団体へ要確認)
境界確定訴訟の弁護士費用着手金30万円程度〜+報酬金(事案により大きく変動・要確認)

確定測量の費用は売主負担とされることが一般的ですが、売却価格の下落幅と比べれば「かけた方が結果的に手取りが増える」ケースも多くあります。査定を依頼する不動産業者に、境界確定の要否と価格への影響を率直に聞いてみるとよいでしょう。

愛知県の相談窓口

境界問題は専門性が高いため、早い段階で以下の窓口の利用をおすすめします(相談方法・開催日・費用は各窓口へ要確認)。

まず何をすべきか

実家の売却・処分全体の流れは「実家じまいの進め方【完全ガイド】」で解説しています。また、土地が兄弟との共有名義になっている場合は境界確認にも全員の関与が必要になるため、「共有名義の空き家が売れない場合の解決策」もあわせてご覧ください。

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※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法律・測量のアドバイスではありません。具体的な判断は土地家屋調査士・弁護士等の専門家にご相談ください。